NISA(少額投資非課税制度)が導入されて初の株主総会シーズンがやってきた。個人投資家を意識して、ネット中継に踏み切る会社や、新たに株主優待を採用したという会社もある。では、参加する初心者投資家たちはどのような気持ちで臨むのか。ゼロから勉強したい、という人に向けてユニークな株入門書を集めた。
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将来は大富豪? それとも有名作家?
『バフェットとグレアムとぼく インドの13歳少年が書いた投資入門』
お金がお金を生む、なんだか複雑で難しそうな投資の世界。足を踏み入れるのにちゅうちょする大人も多いというのに、インドでは13歳の少年がいとも鮮やかに解説してみせる。阪急コミュニケーションズの『バフェットとグレアムとぼく インドの13歳少年が書いた投資入門』(著・アリャマン・ダルミア 、訳・前田俊一、1512円)がそれだ。長期に渡って高い運用成績を上げ、伝説的人物となったアメリカの有名投資家ウォーレン・バフェット氏と、その師匠であるベンジャミン・グレアム氏による難解な書物を読破し、家族らと投資の心構えについて議論した内容が、平易な言葉づかいで200ページにまとめられている。算術の得意なお国柄はさておき、父親と叔父は投資家だという。幼いころからお金の話を聞かされてきたに違いない。数年後は大富豪か、それとも作家か、少年の今後も気になる。
元銀行マンによる企業分析虎の巻
『ど素人が読める決算書の本 第2版!』
バフェット氏もグレアム氏も、成功を収めるには投資先の情報を事前によく分析することが大事だと言う。なるほど、株の値動きや経営者の言動ばかりを追っていると、波に乗り遅れてわずかな利益しか手に入れられないばかりか、損をしてしまう可能性だってある。雑念に惑わされず、しっかり自分で確かめてから投資したい。だが、決算書を目の前にすると、あまりの難解さにがく然とする。翔泳社の『ど素人が読める決算書の本 第2版!』(著・ジョン太郎、1490円)は、元銀行マンの著者が「プロの読み方」をわかりやすく指南する。たとえば、「現物及び現金同等物の期首残高」という言葉は、「1年前に現金がいくらあったか」という言葉に置き換えるといった具合だ。親子でも読める内容。先ほどのアリャマン少年の家族に一歩近づけるかもしれない。
庶民には庶民の楽しみ方がある
『桐谷さんの株主優待生活』
インドのサラブレッド少年、元大手銀行マンは、株が得意で当たり前? では、どこにでもいそうなオジサンならどうだ。角川書店の『桐谷さんの株主優待生活』(著・桐谷広人、1404円)の著者は、深夜のテレビ番組で一躍有名人となった。400もの優待銘柄をやりくりしながら生活する。現金はほとんど使わない。優待を受けられる店から店へ、汗をかきながら自転車で移動する。不自由に思えるが、映画鑑賞にジム通いと、心にも体にも良さそうなのが驚きである。本書では、10万円台の少額投資でも優待が受けられる「プロ推薦」の銘柄も紹介している。居酒屋チェーンや飲料メーカーなど、身近な会社に投資すると、こんなに得をするものなのか。こうなると、堅苦しいことは抜きにして、カタログ通販気分だ。株主総会でもらえるお土産も楽しみである。