危険すぎる場所から届いたメッセージ
『一歩を越える勇気』
危険を冒しても、それを乗り越えたときの達成感がクセになる、という登山好きがいる。その気持ちがインドア派にも理解できるだろうか。富士山よりもさらに高い、人が生きられないほど酸素が薄いことから「デス・ゾーン」と呼ばれるヒマラヤ8000メートル峰に、酸素ボンベを使わず、インターネット生中継を行いながら登頂した著者による本がある。サンマーク出版の『一歩を越える勇気』(著・栗城史多、1404円)だ。心に芽生えた夢をあきらめていないか、目標をかなえるためには何が必要か、といったメッセージが登山とは無縁の読者からも支持を集めたのを受け、文庫化された。壮大な冒険を成功させるには、地上での資金集めが鍵となるが、そのユニークな営業法も紹介されている。ちなみに文庫本の印税は前回の登山で負った凍傷の治療と、6月下旬から再挑戦するヒマラヤ登山の活動費に充てるという。