覚せい剤にのめりこんで捕まる有名人は少なくない。つい先日も、人気男性デュオ「CHAGE and ASKA」のASKAが覚せい剤所持容疑で逮捕された。
尿検査や毛髪からも反応が出て、自宅から覚せい剤や吸引器具も見つかった。面白半分に数回手を出したのではなく、どうやら常習的に使用していたらしい。週刊誌などでは10年以上前からクスリに手を染めていた、という報道も出ている。
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「何で薬物なんかやったの?」は意味がない
『人はなぜ依存症になるのか 自己治療としてのアディクション』
名誉もカネも手にした、日本を代表するアーチストがなぜ覚せい剤に溺れるのか。なぜ離れられないのか。だれでも感じる、そんな疑問に答えるヒントになるのが、星和書店の『人はなぜ依存症になるのか 自己治療としてのアディクション』(著・エドワード・J・カンツィアン、マーク・J・アルバニーズ、訳・松本俊彦、2592円)である。
どんな重症な薬物、アルコール中毒者でも一旦、使用を止めるのは簡単だ。ただ、その状態を続けることは極めて難しい。この点に注目して生まれたのが、本書の主題である「自己治療仮説」だ。
患者が依存症に陥るプロセスについて、こう説明する。
「決して快楽に溺れるためでも、自己破壊的衝動に突き動かされたためでもない。他に解決策が見当たらないなかで、耐えがたい苦悩や苦痛を一時的に抑え、緩和することを意図したゆえの行動なのである」
そして、緩和に役立つ物質を選択し、依存症に陥る、というのだ。「何で薬物なんかやったの?」と繰り返し詰問するのは意味がなく、患者の側に立った「暖かい見守り」こそが重要なことを強調している。