神奈川県伊勢原市にある丹沢大山(たんざわおおやま)国定公園で、「大山ケーブルカー」を運行する、小田急グループの大山観光電鉄(神奈川県伊勢原市)は、2015年に開業50周年を迎える同ケーブルカーの大規模設備更新の計画を発表した。総額16億円を投資し、開業以来初となる新型車体の製造に取り組み、眺望や居住性を高めるという。新型ケーブルカーの運行開始は15年10月の予定。
小田急ロマンスカー手がけたデザイナーが設計
大山中腹を運行する大山ケーブルカーは、麓の大山ケーブル駅から、中間駅の大山寺駅を経て、山上の阿夫利(あふり)神社駅までの約800メートルを結び、標高差280メートルの急勾配を登り下りする。
「大山講」での阿夫利神社参詣が盛んなため建設が計画され1931年に大山鋼索鉄道として運行を開始。第二次大戦時に不要不急線として廃止され、戦後20年がたった65年に大山観光電鉄の運営で復活開業した。この開業から2015年は50年目。
大山の山上からは、江の島や三浦半島・房総半島まで見渡せる眺望と、新緑や紅葉といった季節ごとの自然溢れる風景を楽しめ年間を通じて多くの客が訪れる。
50年目の車体の新造では、保有する2両の車体を新たに製造。デザイン設計は、小田急ロマンスカー・VSE(50000形)などをデザインした岡部憲明アーキテクチャーネットワーク(岡部憲明代表)が担当し、眺望をより楽しめるようになるという。
また全線のレール、マクラギ、分岐器の交換や、橋脚、橋桁の補強を実施。各種設備を改修し安全性と快適性を高める。工事は14年5月19日から始まっており、15年9月に完成の予定。同年5~9月はケーブルカーは運休の予定。