NTTドコモ、au(KDDI)など、携帯大手各キャリアの夏の発表会が終わった。端末についてはとくに目新しい点はなく、auのau WALLETなどの決済サービスや通信速度、ドコモのVoLTE(ボルテ)など新通話サービス、新しい料金プラン、サービス内容の発表に注目が集まった。
各社が人気端末のiPhoneを発売するようになって、取り扱い機種ではなく料金プランやサービスに合わせてキャリアを選択する流れになってきたと言えそうだ。
認知が広がってきた「格安SIM+SIMフリースマホ」
iPhone(アイフォーン)のSIMフリー端末が2013年に発売されたり、イオンやビックカメラなどで格安スマホが販売されたり、最近では、通信キャリアに縛られずに端末を入手することができるようになってきた。
そうした中、SIMフリー端末を利用することで、通常のスマートフォンと同じように090や080から始まる電話番号が利用でき、LTE通信もできる音声通話付き格安SIMサービスが多くの会社から販売されてきている。代表的なサービス名でいうと、ソネットの「So-net モバイル LTE +Talk/+Talk Sプラン」、インターネットイニシアティブの「みおふぉん」や、日本通信の「携帯電話SIM」などが挙げられる。
データ通信容量は各携帯キャリアが提供している7GBよりも少ない、1GB~3GB程度となるものの、自宅や職場ではWi-Fiを使用し、移動中のみデータ通信を行うユーザーやスマホのヘビーユーザーでない人にはちょうどいい通信容量ではないだろうか。
今まで、ガラケーとよばれる「普通の携帯電話」を使っていた人がSIMフリー端末と格安SIMを組み合わせて、手頃な利用料金でスマホデビューするといったことも増えてきている。
音声通話付き格安SIMの悩みは通話料
ただ、音声通話付き格安SIMについては注意しなければならない点がある。料金に無料通話分は含まれていない場合が多く、通話料は30秒につき20円と携帯キャリアの料金と同じで、その上、大手キャリアが提供している家族割やキャリア同士の通話料割引は用意されていないため、通話が多いと月額料金が高くなってしまう場合があるのだ。
そこで注目されているのが、「楽天でんわ」などを始めとする格安通話サービスとの組み合わせ利用だ。一例として、音声通話付き格安SIMサービスの一つである「みおふぉん」と楽天でんわを使って月30分通話をした場合と、ドコモの新料金プランを比較してみよう。
月3000円以上お得になる場合も
まず、データ通信容量を2GBにそろえた時の基本料金は、みおふぉんが2520円、ドコモが6500円と、4000円以上の開きがある。音声通話をすると、ドコモは何分かけても無料だが、みおふぉんの場合は30秒につき20円かかるので30分で1200円分の通話料が発生する。このみおふぉんでの音声通話を30秒10円の楽天でんわに切り替えてみると、30分あたりの通話料は600円に。楽天でんわの初期費用は0円。
つまり、月30分間通話した場合のNTTドコモへの支払額は6500円、みおふぉん+楽天でんわの場合は3120円となる。もちろん、音声通話付き格安SIMを利用するにはSIMフリーの端末やドコモの端末を別途入手していることが必要となるが、それさえクリアすれば毎月3000円以上お得になる計算というわけだ。
ただし、当然だがおサイフケータイやキャリアメールなどのキャリア依存のサービスは利用できない。また、音声通話付き格安SIMは最低契約期間が設定されており、最低契約期間中に解約をすると違約金が課されるので、注意が必要だ。こうした条件や自分の利用する端末の機能と利用状況を見直して、適切な組み合わせを選択することで、キャリアに縛られないスマホを持つことができる。
端末が横並びになった今、こういった脱キャリアも選択の1つとなってくるだろう。
(記載金額はすべて税抜)