借金が増え続ける3つの主因
一つは、首相の財政理解度が、田中角栄、福田赳夫、大平正芳、中曽根康弘、竹下登、宮沢喜一、橋本龍太郎などの歴代首相たちに比べて、その後の首相たちでは総じて大きく低下していったことだ。その結果財政当局の政策決定機能は失われ、赤字国債発行への歯止め力はなくなった。
二つ目には、情報提供者すなわち報道の責任である。著者は、「いつのころからか、『財政当局の言いなりになり、増税路線を選んだ』などという言い方がはやり始めた」、「国の予算の半分しか税金で賄えず、残りはすべて借金で食っている日本という国が、わずか3%の税率引き上げを『税制当局の言いなり』とは、どこの馬鹿が言い出した」と慨嘆する。そして、国の予算の半額にしか過ぎない税収を国債の元利払いや社会保障費に充てるとその他の政策費用に充てる税金などない(=税金ではなく借金で賄われている)のだから、「税金の無駄遣い」という何十年来の常套句は真っ赤な嘘であると指摘し、「日本国がますます借金体質を強めていることへの自覚もなしに、あたかも正義の見方は我であるかのごとく信じて疑わない日本の報道に比べれば、中国の規制された報道の方がずっと正当性があるように見える」とまで嘆くのである。