原発の大崩壊はとっくの昔に予測・警告されていた。壊滅的な事故発生の危険を言いあてた専門家がいたことを『原発は滅びゆく恐竜である』(水戸巌著、緑風出版)が教えてくれる。
放射能被害の恐ろしさや技術的欠陥をいくら指摘しても、当時は原発推進派や御用学者たちの冷笑と中傷で塗りつぶされた。その先駆的論文・講演・裁判関連の資料集が一冊にまとまった。福島第一原発事故とほとんど変わらない、驚くほどのリアリティ。原発復活ムードが流れ始めた日本に、再びの警鐘となるのか、あるいはまたも無視されるのだろうか。【2014年4月27日(日)の各紙からⅡ】
推進派は事故後にも平然「予測を超えていた」!
東大などで原子核物理学を研究していた著者は1970年前後から原発の危険性を力説、建設反対の運動や訴訟に科学者の立場から資料を提供してきた。福島第一原発事故の40年以上前だ。事故の可能性を理路整然と指摘し、周辺被害についても警告を発した。
「大事故をひき起こす原因のうち最も大きな可能性があるのは大地震」「外部電源喪失により致命的事故になる」「高温の金属と水の反応により水素ガスが発生する」
まるでその通りだったではないか、福島第一原発事故は。
ところが、電力会社はもちろん官僚も政治家もいっこうにとりあわなかった。御用学者ともども原子力ムラと言われる人たちは、それが彼らの仕事であるかのように警告を無視するか、怪しげな反論を繰り返して市民をケムに巻いてきた。挙句に、事故が起きると「予測を超えていた」と平然と語るのだから、ハレンチとしか言いようがない。