「男はあくせく仕事する」の生き方論も
実は、幼い頃に番傘の美しさに魅せられたことが忘れられなかったのだそうだ。しかし、それで異業種の会社を中年から始めて成功するものか? 「男は仕事」「あくせくするのが勲章」と読売新聞の著者紹介欄で語るあたり、この本には経営書というより人生論の側面が。それも「のんびりマイペース」「脱都会・自然と気楽に」式の風潮とは対極にある生き方を自然体でこなしてきた趣がただよう。
そうして作り出した製品は、単純なビニール傘とはちがう。品によって最大100色のカラフルさ。「waterfront」「SHU'S」などのブランドも。薬店や書店でも売られる。いつでも手軽に好きなのを買えるのは、1年を通じての大量生産と540万本の大量在庫という支えを実現しているから。
「晴れの日にも客をひきつける傘を」ということか。やるなあ。人生の達人に驚かされる。
(ジャーナリスト 高橋俊一)
J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ」でも記事を公開中。