後進を育てることが醍醐味
著者曰く「講義は東大教授の自己啓発の源」であり、「教室は教員の晴れ舞台」だという。「東大教授をしていてありがたい点は、極めて優秀ではあるけれど若者、ばか者、よそ者である新入生に毎年講義をし、専門分野を教える機会があって、その度に学生の新たな視点からの質問やコメントを受けて学べる点です」
しかし、時代は変わり、学生気質も大きく変わったという。
それでも、国家百年の計は、人材の育成、すなわち教育であると著者は語る。
「社会に出て将来様々な分野で活躍し、日本と世界の幸せな生活を支えてくれる可能性が高い東大生達に、講義や論文指導の場を通じて思うところを伝えられるのは、この上ない楽しみです」
本書を読み、「東大教授」をうらやましく思ったのは、後進を育てることの醍醐味だ。本書の随所で取り上げられている、著者の元から羽ばたいていった若手が、様々な場所で、素晴らしい業績を挙げ、新しい知見を切り拓いていく様子は実に見事だ。これこそが教育者たる東大教授が味わうことができる最上の喜びであろうし、日本社会に対する最大の貢献だと思う。
厚生労働省(課長級)JOJO