【書評ウォッチ】W杯のブラジル地方都市を知ろう 多彩な素顔に触れる機会に

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   どの国でも首都だけが魅力的な都市とは限らない。個性あふれる街が地方にいくつもあることは、札幌、仙台、広島、福岡など日本の場合を考えればわかる。6月にワールドカップが開かれるブラジルも同じ、知らない土地を理解する機会でもある。『2014サッカーワールドカップブラジル大会ハンドブック開催12都市ガイド』(大住 良之、Equipe J 著、同学社)はサンパウロやリオデジャネイロのほか、クイアバやベロオリゾンテ、ポルトアレグレなどを紹介。人々の日常生活や文化を踏まえて、現地の雰囲気を伝え、大きな国の多彩な素顔に触れるのを助けてくれる。【2014年4月13日(日)の各紙からⅡ】

リゾート、世界遺産、宿代4000%値上げ?

『2014サッカーワールドカップブラジル大会ハンドブック開催12都市ガイド』(大住 良之、Equipe J 著、同学社)
『2014サッカーワールドカップブラジル大会ハンドブック開催12都市ガイド』(大住 良之、Equipe J 著、同学社)

   ブラジルといえばサンバとカーニバル、アマゾンそれに治安の悪さ。もちろん、強力なサッカー大国でもある。そうそう、経済分野では有力な新興国。が、一般にはきれぎれなイメージばかりが独り歩き。その地方都市となると、これはもうリオやサンパウロ以外はほとんど知られていない。

   日本チームが一次リーグで試合予定の3都市をごく大ざっぱに調べると、

レシフェ(6月14日、コートジボアール戦)ブラジル北東部の港町でリゾート地。犯罪も多く、犯人と被害者、警察の銃撃戦もど派手。外務省は注意を呼びかけている。
ナタール(19日、ギリシャ戦)国土が大西洋に突き出すあたりにある、ここもビーチリゾート。要塞跡や世界遺産の奇岩に向かう玄関口としても知られる。
クイアバ(24日、コロンビア戦)南米大陸中央の内陸都市。パンタナール自然保護区の玄関。宿泊施設の4000%という法外な値上げの情報が一部に伝わっている。

   対戦相手にそれぞれ特徴があるように各都市も個性的。本は、もっと知るには良いガイドブックといえそうだ。交通情報やこの国サッカーの歴史、サンバの踊り方まで。やや盛りすぎの観もあるが、活用できる内容の豊富さとも解釈できる。朝日新聞の評者は無署名。

プレハブ住宅をつくった技術者たち

   建築の世界で「均一で個性がない」と批判されてきた日本の住宅様式を再評価する動きが出ているそうだ。『箱の産業』(松村秀一ら編著、彰国社)がプレハブ住宅を作りだした技術者たちの証言を通じて住まいの文化を考える。住宅展示場は世界では珍しいものらしい。丁寧に仕上げてきた技の集積が、たしかにある。

   『いえ 団地 まち』(木下庸子ら編著、住まいの図書館出版局)は、これも世界にないという住宅公団の歴史と変容。どちらも日経に。評者は建築批評家の五十嵐太郎さん。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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