【BOOKウォッチ】
「沈黙の春」50年後の今もなお 世界から注目される日本の里地里山

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   1962年に出版された「沈黙の春」で、農薬など化学物質を含む薬品の危険性を指摘した米国の水産生物学者、レイチェル・カーソンは、環境問題に目を向けさせるきっかけを作った人物とされる。4月14日はそのカーソンの命日であり、2014年は没後50周年の節目。カーソンの告発から半世紀以上を経て、世界の、あるいは日本の、自然保護や環境保全はどうなっているのだろうか。

   J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」(https://books.j-cast.com/)でも特集記事を公開中。

世界で25地域認定、うち5地域が日本に

世界農業遺産
世界農業遺産

「世界農業遺産──注目される日本の里地里山」

   ユネスコ(国連教育科学文化機関)が登録する「文化遺産」や「自然遺産」などの「世界遺産」は広く知られているが、FAO(国連食糧農業機関)が認定する「世界農業遺産」(GIAHS=ジアス)の認知度はそれほど高いとはいえない。世界遺産は1978年にエクアドルのガラパゴス諸島などが第1号として登録され、日本に関して発効したのは92年。農業遺産の制度が始まったのは2002年で、日本では11年に新潟県の佐渡と石川県の能登の両地域が、先進国からは初めてとなる認定を受けた。これまで11か国25地域が認定され、日本では佐渡と能登以降、熊本・阿蘇、静岡、大分・宇佐が加えられ計5地域が認定を受けている。

   祥伝社新書の「世界農業遺産──注目される日本の里地里山」(著・武内和彦、842円)は、日本は農業大国ではなく、国内ではむしろ農業は衰退の道を歩んでいると指摘。その日本が「世界的農業ムーブメントの中心に立ち」国内5地域が遺産認定を受けた理由は「里地里山」にあると解き明かす。

日本版「沈黙の春」を

ミツバチ大量死は警告する
ミツバチ大量死は警告する

「ミツバチ大量死は警告する」

   米国では1970年代からミツバチの数の激減が指摘され、2000年代に入ると、欧州や日本でも「ミツバチの大量失そう」がしばしば報告されるようになる。集英社新書の「ミツバチ大量死は警告する」(著・岡田幹治、821円)は、09年春に日本全国で起きた花粉交配用ミツバチの不足をきっかけにしてまとめられたもの。著者は元朝日新聞記者で、環境問題や経済をテーマに活動を行っているフリージャーナリスト。

   ミツバチの異変を追跡すると、大量死が国際的な問題になっていることが分かる。その原因は当初は、農家によるハウス栽培の増加や寄生虫や病気の流行、新型農薬の登場などが複合的に作用したと思われていたが、近年は、ガーデニング用などにも使われているネオニコチノイド系農薬の影響が大きくなっているという。

   著者は「"沈黙の春" はいまなお終わっていない」として、この著書で、現代版「沈黙の春」を目指すという。

世界遺産の島を十二分に楽しむ

ネイチャーガイドと歩く屋久島
ネイチャーガイドと歩く屋久島

「てくてく歩き ネイチャーガイドと歩く屋久島」

   鹿児島県の屋久島は1993年、兵庫県の姫路城、奈良県の法隆寺、秋田県と青森県にまたがる白神山地とともに、日本で初めて世界遺産リストに登録された。屋久島が国内の他の島々と違ってユニークなのは、ほぼ全域が山地で1000~1800メートル級の山々が連なり、その標高差と黒潮の影響で亜熱帯植物から高山植物まで、日本の植物種の7割以上、約1500種が一つの島に生息する自然環境だ。また、杉の南限とされ、「屋久杉」はその寿命が長く、樹齢1000年を超えるものも多いという。

   実業之日本社ブルーガイドてくてく歩きシリーズ「てくてく歩き ネイチャーガイドと歩く屋久島」(編・ブルーガイド編集部、972円)は、島の豊かな自然を、現地のネイチャーガイドの言葉を通して解説。自然を堪能するには、大きな杉にばかり目を向けるのではなく島独特の苔なども含め森全体を観察することだという。

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