日本版「沈黙の春」を
「ミツバチ大量死は警告する」
米国では1970年代からミツバチの数の激減が指摘され、2000年代に入ると、欧州や日本でも「ミツバチの大量失そう」がしばしば報告されるようになる。集英社新書の「ミツバチ大量死は警告する」(著・岡田幹治、821円)は、09年春に日本全国で起きた花粉交配用ミツバチの不足をきっかけにしてまとめられたもの。著者は元朝日新聞記者で、環境問題や経済をテーマに活動を行っているフリージャーナリスト。
ミツバチの異変を追跡すると、大量死が国際的な問題になっていることが分かる。その原因は当初は、農家によるハウス栽培の増加や寄生虫や病気の流行、新型農薬の登場などが複合的に作用したと思われていたが、近年は、ガーデニング用などにも使われているネオニコチノイド系農薬の影響が大きくなっているという。
著者は「"沈黙の春" はいまなお終わっていない」として、この著書で、現代版「沈黙の春」を目指すという。