日本アニメの安泰とは言えない実状
<もう一冊>日本のアニメは世界的にも素晴らしい。そうには違いないだろうが、誤解していませんかと問いかける『日本のアニメは何がすごいのか』(津堅信之著、祥伝社新書)が朝日新聞新書欄に小さく。
大きな産業、高い芸術性、器用な日本人向き、アニメ輸出で世界を席捲(せっけん)するか。世に流れる「常識」に著者は否定的だ。これまでの歴史的経緯やデータ、証言から日本アニメの、安泰とは言えない実状を描きだす。
だいたい海外ではアニメーションとアニメは別もの、日本のアニメが売れているように見えたのは10年近くも前のこと、今はそれほど売れていない、など。一見過激な分析だが、紙芝居から説き起こして日本アニメのディズニーとはちがう特徴を指摘していく。
アトムやガンダム、スポ根アニメにも触れ、わかりやすい。海外展開が楽ではないとの意見もうなずける。浮かれている場合では、どうもなさそうなのだ。評者無署名。
(ジャーナリスト 高橋俊一)
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