歴史問題への批判は「故なき対日誹謗」
村田氏は、軍部などの組織的欠陥などを批判するが、開戦について一定の合理性を認める。個人の恨みや憤りの感情は残るが、平和条約で線を引くのが、国家間のルールと断じ、中国・韓国の歴史問題への批判を「故なき対日誹謗」として厳しく批判する。今後については、中国との関係は一定の距離をとりつつ、「当面米国との防衛分野での結合を保ち、日米安保体制をより双務的なものとし、かつ少しずつ米国への依存から脱して独自の防衛力を強カしつつ全世界の国々と友好関係を構築する以外に現実的方途はない。」という。そして、日本は永遠に孤立した国であることこそに日本の国家としての特色があると喝破する。
また、占領軍による、新憲法(現行憲法)、東京裁判、「教育の民主化」、公職追放、民間情報教育局の「洗脳工作」を厳しく批判する。戦後、伝説的知識人となった林達夫の「新しき幕開け」(「共産主義的人間」=中公文庫 1973、「歴史の暮方・共産主義的人間」=中公クラシックス 2005)に共通する、戦後日本のありようへの深い失望がそこにある。