【書評ウォッチ】4人に1人が生涯独身の社会がすぐそこに 予測確実な近未来は?

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   単身世帯、結婚できない若者……「自分を大切にしてくれる家族が一人もいない状態」が急激に広がりつつある。そこから派生する経済や人間心理のゆがみに『家族難民』(山田昌弘著、朝日新聞出版)が警告を発している。今の若者の4人に1人が生涯独身で終わる未婚化社会に、10年後20年後何が待つのか。もうすぐそこまで来ている近未来の、それも予測が確実にできる話なのだ。【2014年3月23日(日)の各紙からⅡ】

変化に政治が追いつけない

『家族難民』(山田昌弘著、朝日新聞出版)
『家族難民』(山田昌弘著、朝日新聞出版)

   30歳代前半で未婚の男性は1950年には8%だったが、2010年には47%に急上昇。35歳から44歳まででは、未婚で親と同居している人が2012年で305万人いるという。

   いわゆる「パラサイトシングル」で、著者は未婚化の進行を分析してきた社会学者。生涯単身者・シングルの増加は少子化、孤立死を招くと危機感もひとしおだ。親がなくなれば、この人たちは無家族状態で孤立するしかない。

   ほとんどの男性が普通に働き、普通に結婚して妻子を持ちながら生涯をすごすというシステムは、もう昭和で終わった。こんな見方も極論とは言えないことが、この本でよくわかる。

   問題は、この変化に政治が追いつけないこと。正社員の男性と妻、子供という標準家族を前提にしてきた社会保障制度が時代遅れになり始めた。「25歳の年の差カップルで、年上の男性が亡くなれば、妻は十分な遺族年金を受け取り続ける。しかし、未婚の娘が25歳年長の父親を介護していた場合、父親が死ねば即座に娘は生活に困窮する」と、毎日新聞の「市」1字の評者が具体的に指摘している。

   リアリティを感じない政治家たちが古典的家族像に固執して現実を軽視し続けるなら、国の方向を誤るだろう。早くなんとかしなければ。

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