4日半ごとに100万人増える世界をどうする
著者も属する世代の憤懣を代弁してもいる。そのうえで、著者は危機から生まれてきた若者の「創造性」や「柔軟性」に期待をつなぐ。自力でのし上がろうとする若者へのメッセージをこめながら「どうしてくれる?」と振り上げたこぶしは硬い。
「未来への不安や不信を期待や自信に変えるのは容易でない」という日経新聞の小さな無署名書評にも危機感がにじむ。否定できない現実が世界中にあることはよくわかる。改善策となると、こうした本にしては具体的な方だが、その実効はまだ霧の中を出ていない。
世界の現実論では、『滅亡へのカウントダウン』(上下2巻、アラン・ワイズマン著、早川書房)が朝日新聞に。こちらは人口大爆発の問題。現在70億人。今世紀中には100億人を超えると予想されている。なにしろ4日半ごとに100万人が増えていく。十分な食料が地球にあるのだろうかと、誰もが考えてしまう。環境は? 人口抑制策は?
著者は20カ国余を旅して生態学者や経済学者、宗教指導者らの話を聞き、少子高齢化の先端をいく日本をモデルケースとして注視しているのだそうだ。評者は原真人さん。
(ジャーナリスト 高橋俊一)
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