【今井亮太郎インタビュー】
ブラジリアン・グルーブを余すことなく感じさせてくれる至極の1枚

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テーマは「生きること」

   前回のインタビューでも語られたことだが、今井はブラジルで生活してきている。そんな経験の中でこんなことを感じていた。

「生きる強さ、生きていく強さ。あの大地とあの人々がいるから生まれた強さ。そしてそれを端的に表しているのが、やっぱりバトゥカーダ」

   ブラジルへの思いを素直に言葉にした結果のアルバム・タイトルなのだ。だが、タイトルは"ピアノ(メロディー)"と"バトゥカーダ(リズム)"という一見矛盾する言葉の組み合わせだ。

「僕の中では決して矛盾しない。むしろ一つになる。僕自身は小さい頃からピアノを弾き、20歳になってブラジル音楽と出会った。ピアノは僕のアイデンティティ。ピアノを弾くと自由になれたし、ピアノを弾くことは僕自身の鼓動(バトゥカーダ)を刻む=生きるのと同じこと」

   「だから」と、今井は続ける。

「選曲も『生きていく』ということをテーマにした。ブラジルのリオでは色々な人が生活し、生きていて、傷つくことでさえ明日生きる力になる、様々な場面にそれぞれのバテュカーダがあるというようなイメージで、自分の曲も含めて選曲した」

   今回のアルバムでは、「色」もとても気になった。曲タイトルの多くから様々な色を感じたのだ。

「色彩感覚はいつも大事にしている。このアルバムでも空や海の青、愛と理性を現した赤と黒、透明という色などでモザイク感を出したかった。生きる時に付きまとうモザイク感」

   ブラジルという人種や大地のカオスの中から生まれるエネルギーを表現したかったという。色はそのエネルギーの表象。

◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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