パンダに振り回された人間たち
ほかには『パンダが来た道』(ヘンリー・ニコルズ著、白水社)が、なかなか鋭い。人間が「可愛い」と感じる動物を研究し、繁殖させ、あるいは政治利用した記録だ。周辺で巻き起こる、人間たちの愚かさをもしっかりと突いている。
えらい労力をかけた研究と愛護の一方で、環境破壊をして、当の動物を脅かす人間行動の皮肉。他の動物にはまるで無頓着なのも、おかしな話だ。中国が政治的思惑で出し入れしたことも忘れてはいけない。そのたびに振り回され、大騒ぎするのはどこの国の誰だ?
「パンダの未来よりも、人間の未来を心配したらという気持ちがわき上がる時、少し反省すれば、気づくはずだ」と指摘する日経新聞・金森修さんの評も鋭い。
(ジャーナリスト 高橋俊一)
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