錬金術にもなる保険金詐欺の実態
『小説 保険金詐欺』
犯罪は世の中の移り変わりを反映するものだが、とりわけ詐欺はその傾向が強い。次々と新しい手口が出てきて、昔からある寸借詐欺や取り込み詐欺、籠脱け詐欺に加え、最近は振り込め詐欺、オレオレ詐欺、フィッシング詐欺、ワンクリック詐欺といったものまで登場している。その中で、しぶとく生き残っているのが保険金詐欺だ。保険金殺人事件はしばしばドラマの題材になる。
祥伝社文庫の『小説 保険金詐欺』(著・今子正義、600円)は、大手保険調査機関に勤務経験のある著者が保険金詐欺の実態を小説として描いたものだ。保険金をテーマにした著作が多いだけにリアルな内容となっている。よく問題になるのが、本書でも取り上げている自殺か事故死かの認定だ。錬金術にもなりかねない保険金詐欺の巧妙な手口を解明する。