霞ヶ関官僚が読む本
日本が加盟して50年、OECDは不変の世界最大シンクタンク

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客観的資料として貴重なOECD報告書

   様々なOECDの報告書については、翻訳もなされており、客観的な資料として貴重なものだ。例えば、「図表でみる世界の行政改革 OECDインディケータ(2011年版)」(平井文三監訳、明石書店、2013年 「Government at a Glance 2011」の全訳)は、OECD設立50周年にあわせて2011年に発表されたものである。この2011年版においては、リーマンショックで膨れ上がった財政の再建(Restoring Public Finances)が特集され、先進国ではこの問題が普遍的に課題とされていることがわかる。また、政府の信頼を確保するための予算の透明性、公務員の清廉性などが重視されている。

   ネット上の「社会実情データ図録」を主宰する本川裕氏の近著「統計データが語る日本人の大きな誤解」(日経プレミアシリーズ 2013年)の第1章第4節「誤解されている政府の大きさ」で、「Government at a Glance」の2009年版のデータが使用され、「日本はOECD諸国の中で最も『小さな政府』に近い存在である。政府(中央、地方)のサービス水準に問題があるとすると、その原因は、政府の非効率・無駄遣いなのか、それともそもそも規模の小ささなのかを疑わなくてはならない」と冷静に指摘する。昨年11月公表の2013年版は、政府の信頼度の低下と資源の制約への対応について分析を深めているが、この翻訳も待たれるところだ。

経済官庁(課長級 出向中)AK

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