40・50年代牽引、60・70年代に通奏低音のごとく…
アメリカの60年代、70年代を象徴する「ベトナム戦争」。その戦争へのプロテストソングとしてリンクした「花はどこへ行った」「天使のハンマー」「ターンターンターン」などの政治的色彩の濃いフォークの生みの親こそが、ピート・シーガーであり、キング牧師の公民権運動のテーマソングとでもいえる「ウィ・シャル・オーバーカム (We Shall Overcome)」を世に送り出したのも、また彼だった。
なぜピート・シーガーをここで取り上げるのか? 理由は簡単で、大滝にしても佐久間にしても、ルーリードにしても、意識するとしないとに関わらず、60年代、70年代のミューシャンは、すべてがピート・シーガーの影響を受けているからだ。そしてウッディ・ガスリーの影響を。
今のように、エンターテインメントに特化し、政治的あるいは哲学的な彩りの一つもない音楽とは違って、昔々の音楽には、連綿と通奏低音の如くに共感しあう何ものかが存在したのだ。そして、その通奏低音を鳴り響かせることのできたミュージシャン・アーティストを、人々は巨匠と呼んだ。
ピート・シーガーの死とは、まさに巨匠の死、一つの時代が丸ごと終わったと同義なのだ。
だからここで、ピート・シーガーの残した音源を(まだ売られていると、思う)。
1か月遅れの、合掌。
加藤 普
【エッセンシャル・ピート・シーガー 曲目】
1.天使のハンマー
2.グッドナイト・アイリーン
3.バーバラ・アレン (ライヴ)
4.トーキング・ユニオン
5.ウィムウェ (ライヴ)
6.ジョン・ヘンリー (ライヴ)
7.リトル・ボックス (ライヴ)
8.漕げよマイケル (ライヴ)
9.わが祖国 (ライヴ)
10.グアンタナメラ (ライヴ)
11.花はどこへ行ったの
12.ターン・ターン・ターン (ライヴ)
13.リムニーのベル (ライヴ)
14.ウェイスト・ディープ・イン・ザ・ビッグ・マディ
15.勝利を我らに (ライヴ)