【書評ウォッチ】捕鯨、タニシ、核融合 復興予算を食い荒らすシロアリの仕組み

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まるで「やり得」働きアリがシロアリに

   他人の家を餌に食い荒らすシロアリ行為。この流用がなぜ、どうして起きたのかを本は解説していく。個々の役人は有能で仕事に忠実な「働きアリ」だと著者は見る。しかし「組織における働きアリが、国家にとってはシロアリと化してしまうのが、この国の現実である」という分析は冷静で、納得できる。だからといって許されるものではない。「一頁ごとに怒りがこみ上げてくる」と朝日新聞の評者・田中優子さん。

   もっと問題なのは、流用が明るみに出てもなお「今さらやめられない」と続く事業があること。「もう使ってしまった」と予算を戻そうとしない自治体がそれですんでいること。誤りと分かれば全額弁償するのが、常識だろうが? これでは、まるで「やり得」だ。

   おかしなシステムに、この国はなっている。そこに巣くう「シロアリ」とは、実態になんともピッタリのネーミング。陰湿で図々しく、害が大きい。やはり許してはならない。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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