【書評ウォッチ】笑ってしまう赤裸々な本心 NHKの「お友達人事」構造とは

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新会長個人の問題ではない

   本はNHK政治報道の特徴を先進諸国の放送機関と比べている。その一つが「国民の利益を積極的に守る無私な守護者として官僚機構を描いていること」だという。なーんだ、新会長発言以前からとっくに「政府に右ならえ」ではないか。そういえば、隠れた事実を独自取材によって明らかにする調査報道もほとんどなし。もう新会長個人の問題ではない。

   首相の「お友達人事」で選ばれる経営委員制度の構造をしっかりと見ておかなければいけない。この読書面によれば、『NHK』(松田浩著、岩波新書)や『NHKと政治』(川崎泰資著、朝日文庫)などの解説書は、いま新刊では買えないらしい。世間の関心が遠ざかると、「政府に右ならえ」のお人ばかりが放送を主導することになりかねない。

   心ある記者や問題意識を持つテレビマンもきっといるはずだ。彼らが萎縮しないことと、力を自由に発揮できる態勢の整備を祈りたい。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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