【書評ウォッチ】笑ってしまう赤裸々な本心 NHKの「お友達人事」構造とは

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   NHKが話題になるときは、いつもロクなことではない。今回も新会長が従軍慰安婦問題について売春宿を引き合いに「どこでもある」とのたまったり、経営委員が都知事選の応援演説で他候補を「人間のクズ」と決めつけたり。笑ってしまうぐらい赤裸々な本心が飛び出した。大手商社の元副社長、今をときめく人気作家、どこそこ大学の女性名誉教授と立派なお人がそろっているのに、なぜ? その答えを一つ『NHKvs日本政治』(エリス・クラウス著、東洋経済新報社)が示してくれる。

   会長を選ぶのは経営委員会だが、その委員を任命するのは総理大臣。予算承認を得るために与党と官僚に気を使う構造もある。一連の出来事を機会に、この際NHKの仕組みを知っておこうではないか。【2014年2月16日(日)の各紙からⅡ】

これで通ってしまう恐ろしさ

『NHKvs日本政治』(エリス・クラウス著、東洋経済新報社)
『NHKvs日本政治』(エリス・クラウス著、東洋経済新報社)

   とにかく、すごい。籾井勝人新会長は従軍慰安婦問題のほか、特定秘密保護法について「(国会で)通ったこと。あまりカッカする必要はない」、国際放送について「政府が右と言っているものを左というわけにはいかない」。しかも、物議をかもすと「では、いま全部取り消します」。無責任な放談並みの内容と身の処し方。もっとすごいのは、彼自身の振る舞いよりもこれで通っていること自体の恐ろしさだ。

   経営委員長が節度を求めたそうだが、馬脚をあらわした新会長も問題の委員もぬけぬけと居座り続け、何事もなかったように放送がつづく。「背景には公共放送の危機的状況がある」と、朝日新聞読書面で評者の武田徹さんが指摘している。

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