「科学立国・日本」は「文系王国」なのか
『理系白書 この国を静かに支える人たち』
資源に乏しい日本の生きる道は「科学立国」だと子どものころから聞かされてきた。実際、戦後の高度成長を支えたのは理系の人たちだ。だが、理系の実態はどうなのか。企業や役所でも文系優位が続いてきたのではないか。その結果、深刻な理系離れを招いたのではないか。講談社文庫の『理系白書 この国を静かに支える人たち』(著・毎日新聞社科学環境部、600円)は、報酬、地位、研究、カルチャー、教育、結婚にいたるまで、理系の置かれた状況を具体的な事実で伝える。
新聞連載をまとめた2003年初版の単行本を文庫にしたものだが、いまなお研究開発や産業振興、理科教育など日本の将来を考える上で重要な問題提起となっている。一連の報道で第1回科学ジャーナリスト大賞を受賞している。