安全安心な自転車利用の方法と日頃の心がけの大切さの啓発を行うことを目的に、学者やジャーナリストを中心メンバーとして「自転車の安全利用促進委員会」が2014年1月29日、発足した。
自転車の購入時に知っておくべき選び方から、購入後のメンテナンス、正しいルール・マナーといった利用方法などさまざまな情報発信をおこなうことで、自転車が関連する社会問題を解決することを目指す。
自転車の安全利用促進委員会が発足
29日に委員会発足とともに東京で開催されたセミナーでは、三井住友トラスト基礎研究所研究理事の古倉宗治氏が、さまざまなデータを分析した結果から、「自転車事故の3分の2は自転車のルール違反が原因」「自転車利用者のマナーが非常に悪い」と指摘した。たとえば、一時停止無視率が車より多いことをあげ、「事故が起きると自転車側は99.6%が怪我をするし、ルールを守っていない場合は損害賠償でも過失割合が増加する。実際、ルール違反での検挙件数や過失致死傷罪での送致件数も多い。守らないと自分自身が損することを理解する必要がある」と話した。
そして、「自転車事故の相手はほとんどが自動車。危険な場所は交差点、次に歩道、そして最後が車道となっている。原則として、車道を左側走行することをこころがけましょう」とアドバイスした。
続けて、「整備自転車、非整備自転車の実験結果」について、自転車博物館事務局長の長谷部雅幸氏が報告。調査により自転車を週に1回以上使用する主婦1000人のうち、26.7%が定期メンテナンスをまったくしていないことが明らかになったとし、「手軽で便利なので粗雑に扱われていますが、想定外のことが起こった時に、整備されていない自転車だと事故のリスクが高まる」と問題点を挙げた。
「時速16kmで走っている場合、ブレーキをかけて止まるまで、メンテナンスしている自転車としていない自転車とでは1.64mもの差がある。雨の日はこれがさらに3.5mにまで伸びます。整備していれば防げたのに、未整備だったために車に突っ込んでしまうということがありうる」(長谷部さん)
長谷部さんはブレーキシュー、リフレクタの角度、タイヤの空気やスポークやリムの歪みをチェック箇所としてあげ、最寄りの自転車店へ持っていくなど、定期的なメンテナンスをするよう訴えた。