第150回芥川賞は小山田浩子さん、直木賞は朝井まかてさん、姫野カオルコさんといずれも女性が選ばれた。前回149回も芥川賞は藤野可織さん、直木賞は桜木紫乃さんと2人とも女性だった。両賞とも2回続けて男性ゼロである。ここ10年を見ても、芥川賞は男性9人に対し、女性は13人で女性の方が多い。直木賞は男性15人に対し、女性は13人と肉薄、この勢いだと、逆転は時間の問題だろう。両賞とも女性上位の時代になりつつある。そこで、今後有望な女性作家を探ってみると――。
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地方に暮らす女の子の倦怠と期待感
『ここは退屈迎えに来て』
表紙が意表を突く。どこか地方都市だろうか、あどけない顔立ちのマネキン人形が誰かに呼び掛けるような表情でポーズをとる。胸に「ここは退屈迎えに来て」のタイトル。まるで映画の冒頭シーンを思わせる。幻冬舎の『ここは退屈迎えに来て』(著・山内マリコ、1575円)は、地方に暮らす女の子たちの倦怠感や寂しさ、変化への期待や希望を描いた8つの物語をまとめた小説集だ。
著者は1980年、富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科を卒業、京都でライター生活を送ったあと上京し2008年、本書に採録されている『十六歳はセックスの齢』で第7回R-18文学賞の読者賞を受賞した。最新作『アズミ・ハルコは行方不明』も地方を舞台にポップな若者たちを描いている。