霞ヶ関官僚が読む本
国難の中で産まれた日本の民主主義 現代にどう至っているのか

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困難を乗り越えるときにこそ民意の結集を

   日本の近代が、旧幕の専制を否定し、万機公論を打ち出したところから始まった以上、原理上、別の専制を許容することには本来論理矛盾がある。だからこそ、近現代の歴史の中で、国政の参加者を拡げ、その意思を結集させる方向が長期的には支持を受け、それは、時に停滞や逆流の憂き目に遭い、その結果国の破滅という極限状態さえ迎えたが、人々は、大きな苦難と努力の中で、それを乗り越え、歴史の歯車を回してきた。

   日本近代史の最近の研究成果は、大きな困難を乗り越えるためには、確実な民意の発露を基礎としたその結集こそが求められるという大きな教訓をも明らかにしてきているように見える。坂野潤治氏は、平成23年3月11日の日本を盧溝橋事件(昭和12年7月7日)の頃の危機の中にある日本と比べていて、その是非は筆者には判断しかねるのだが、何れにしても、この大きな国難を乗り越え、復興に進むべき今、民意の結集する方向がどこにあるのか、その見極めを誤らないようにしていきたい。

(文中の意見は、筆者個人の見解です。)

総務省(課長)Victor

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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