ロシアで大好評だった「ハラキリショ―」
『明治のサーカス芸人は なぜロシアに消えたのか』
今から約150年も前の幕末から明治にかけて、海外で活躍したサーカス芸人がいたとは――。とりわけ、ロシアに渡ったヤマダサーカスはショッキングな「ハラキリ」芸で人気を博した。その一座の中に「イシヤマ」「タカシマ」「シマダ」という名の3人の人物がいて、写真も残されていた。彼らは何者か。芸一つを武器に海外に飛び出し、ロシア革命と遭遇したサーカス芸人たちの運命をたどる。
祥伝社の『明治のサーカス芸人は なぜロシアに消えたのか』(著・大島幹雄、1680円)は、早稲田でロシア文学を学び、研究者をめざすが、生活費を稼ぐために入ったイベント会社でサーカスと出会い、その魅力に取りつかれた著者によるノンフィクションの力作だ。サーカスへの温かいまなざしが行間ににじむ。