【書評ウォッチ】悪を助け弱きをくじく 「ブラック士業」は恥を知れ

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人材を食いつぶす企業への対策は?

   違法スレスレの労務管理を悪徳経営者に入れ知恵し、ときには若者相手に訴訟の脅しをかける。行政の実態調査を阻むような動きもあるという。屁理屈をこねる前に恥を知るべきだ。

   国や自治体は「電話相談」あたりでお茶を濁しているかに見える。対策が進まない間にブラック「企業」とその用心棒「士業」がはびこっていく。若者たちの相談にのる著者自身がその種のヤカラから「脅し」を受けたことも、本は企業の実名入りで明かしている。朝日新聞の評者は詩人・水無田気流さん。ビジネスとは別論理の専門知識と対抗策が重要と強調しているが、この書評はなぜか「脅し」の部分には一切触れていない。

   『ブラック企業は国賊だ』(薗浦健太郎著、中央公論新社)は、元新聞記者の自民党衆院議員が日本の人材資源を食いつぶす企業への対策を論じる。日本型終身雇用の功罪から新しい雇用環境にまでを意欲的に考えている。読売の評者は無署名。

   ただ『ブラック企業ビジネス』で名指しされた企業の経営者が自民党議員の中にいる現実。これに著者はどう向き合うのか。個人と党は関係ないでは、まさか、すまないだろう。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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