霞ヶ関官僚が読む本
元禄貨幣改鋳、時代が早すぎた経済観

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

「瓦礫も貨幣になり得る」

   重秀生涯のハイライトは元禄改鋳であろう。元禄小判の品質が悪いとの批判に対し、彼は「貨幣は国家が造る所、瓦礫を以ってこれに代えるといえども、まさに行うべし」と言い放ったという。著者は、「これはまさに名目貨幣の考え方であり、『貨幣国定説』にほかならない」とし、「重秀が『実物貨幣から名目貨幣へ』という貨幣観を自覚的にもちながら改鋳を行った点が、ローマ帝国以来幾多の国々で行われた『後ろめたい』改鋳と元禄改鋳とを決定的に区別する点である」と激賞している。重秀もって瞑すべきであろう。

経済官庁(Ⅰ種職員)山科翠

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

姉妹サイト