【書評ウォッチ】ヤボな国になりそうな気配 天野祐吉さん最後のメッセージ

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じんわりと浮かび上がるものは?

   この不安感は、具体的には何だろう? 本も書評も触れてはいないが、秘密保護法や武器輸出の見直し、国民の知る権利や言論の自由を制限するような与党幹部の発言などがじんわりと浮かび上がってくる。「野暮な国」になって、それで国民が平和で幸せでいられるのだろうか。

   3・11といえば、これまでのルポや調査ものとはひと味ちがう『福島第一原発収束作業日記』(ハッピー著、河出書房新社)が朝日新聞に。ベテラン下請け作業員の著者が事故直後からほぼ毎日ツイッターで続けた700日間のつぶやき集というから、最前線の実態がこれ以上わかるものもない。

   あの時と今、何が起きたか・起きているのか。ほかの人では書けない「生の声」が政治家や役人と現場との深刻な食い違いを語る。資料価値もありそうだ。評者は原真人さん。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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