緑茶VS紅茶 対決の結末は?
『茶の世界史 緑茶の文化と紅茶の社会』
日本茶のことを緑茶ともいうが、中央公論新社の中公新書『茶の世界史 緑茶の文化と紅茶の社会』(著・角山栄、735円)は、緑茶と紅茶と対比させながら、世界経済の視点から茶の文化と歴史について多角的に書きあらわしたものである。1980年の初版以来のロングセラーで、高校生の時に読んで年号の暗記とは違う世界史の面白さを知ったという人も多い。
アジアとの貿易を通してイギリス社会へ紅茶が定着していくにつれ、世界はヨーロッパを中心とした新しい経済体制に組み込まれていく。開国後の日本も日本茶の世界市場への進出を試みるが、ライバル・紅茶の前に挫折を余儀なくされる。巨大化した今日のグローバル資本主義の攻防と重ね合わせて読むのも興味深い。