霞ヶ関官僚が読む本
辛く、厳しい介護現場の現実。担い手をどう確保していくか

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「ウンコとオシッコ」との格闘

   介護現場での最大の仕事は「ウンコとオシッコ」。著者曰く、プロとして仕事を続けられるかどうかは、ウンコとのお付き合いに耐えられるか否かだという。本書では15ページにわたって、この「ウンコとオシッコ」の話が続く。

   排泄介助中に、ウンコまみれのお尻を洗った水の飛沫が口に入っても、介護の手を休めるわけにはいかない。「飲み込んじゃいけない」と言い聞かせながら、作業を急ぐ。「便、軟らかかったけど、まさかO-157じゃないだろうな。あれって、たしか2、3日して症状がでるんだよな…」

   しかし、最も辛いのは、介護を受ける高齢者だ。自分で排尿のコントロールが利かなくなり、リハビリパンツを着用。その後、大失禁して、ベッドまで汚し、オムツを余儀なくされる。ショックと諦めと慣れの繰り返し。

   著者は語る。「生まれて以来、ずっとおバアさん、おジイさんをやっていたわけではないのだ。ずっと介護が必要だったわけではないのだ」。

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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