【書評ウォッチ】「モノづくりに勝ってブランドづくりに負けた」 日本メーカーには「なぜ選ぶかの理由」が必要だ

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   消費者がだまされ続けていた食品偽装。あれは高級ホテルやデパートを信じたばっかりにまんまと。名前が人をひきつける、きわめて現代的な商品力を扱った『小さな会社を強くするブランドづくりの教科書』(岩崎邦彦著、日本経済新聞出版社)を読売が。主に経営サイドからの対処術・活用策だが、消費者心理をふくめた時代の反映でもある。ブランドをつくって高く売ろうとする経営者がいるのなら、その仕掛けを知って引っかからない消費者・市民がいてもいい。「教科書」の意義は十分にある。【2013年11月24日(日)の各紙からⅡ】

ブランドは「タイブレーカー」

『小さな会社を強くするブランドづくりの教科書』(岩崎邦彦著、日本経済新聞出版社)
『小さな会社を強くするブランドづくりの教科書』(岩崎邦彦著、日本経済新聞出版社)

   高糖度をうたい文句に今や有名なトマト「アメーラ」。本は、こうした具体例をもとに、どうすれば強いブランドをつくれるのかをステップを踏んで解説する。「モノづくりに勝ってもブランドづくりに負けたらいけませんよ」という経営論。

   というのも、良い製品を作ればいいという従来型日本メーカーの理念が、国際化時代の競争の前にあえいでいる一面があるためだ。人に欲しがらせる「ブランド」力をつけなければ売れないという、経営者向けのまさに羅針盤的な教えの一冊だろう。「なぜその商品を選ぶのか理由が必要になる」と、読売評者の社会学者・開沼博さん。

   ブランドは「タイブレーカー」だという著者の言い方がわかりやすい。タイブレークとは、テニスで同点のときにやる延長戦。品質が「同点」ならブランド力で勝負が決まる。ああ、確かにそういう時代なのだろうなと思わせる。

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