【書評ウォッチ】原発は「なくてもやれそう」か 小泉元首相発言をフォローの事例集

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   原発や石油の巨大発電所にかわる電力作りを考える新書が2冊。『エネルギーを選びなおす』(小澤祥司著、岩波新書)が朝日に、『コミュニティ発電所』(古屋将太著、ポプラ新書)が読売新聞に、どちらも小さく載った。ともに今までの大規模発電システムからの切り換えを訴える。すでに全国各地あるいは世界中に実例がいくつもあるそうだ。

   小泉純一郎元首相の脱原発発言から関心が再び高まっている問題。保守政界あたりから「対案を示さなければおかしい」との反論もあったが、新エネルギー、けっこうあるじゃないか。そう思わせるフォロー集でもある。【2013年11月24日(日)の各紙からⅠ】

電気でなければいけないのかと問題提起

『コミュニティ発電所』(古屋将太著、ポプラ新書)
『コミュニティ発電所』(古屋将太著、ポプラ新書)

   自然エネルギーの重要性は理解しても「それで電気・熱源が十分か」と言われたら、戸惑ってしまうのが普通かも。今の生活に慣れきって電力会社の枠組みから抜け出すまでの確信はなかなか持てない。しかし、熱源や動力は電気でなければいけないのかと『エネルギーを選びなおす』の著者は疑問を投げかける。

   地域の森林や水力や風力を組み合わせてエネルギーのベストミックスを探そうという問題提起だ。石油にどっぷりつかった「消費の限界」も見すえている。システム転換の先にあるのは、石油や原発への依存度低減にほかならない。

   『コミュニティ発電所』には、風力、太陽光、水力など自然エネルギー発電の事例が全国から集められている。北海道浜頓別町の市民風車や長野県飯田市のソーラー発電補助、神奈川県小田原市や東京都多摩市などの官民の試みを紹介。かつては原発依存国だったスウェーデンの制度転換にも触れ、ドイツやスペイン、カナダの政策にも関心を示す。本のサブタイトルは「原発なくていいかもよ?」

姉妹サイト