現代にも通じるナンバー2の生き方
『大軍師 黒田官兵衛』
どの組織でも「ナンバー2」は最重要のポジションだが、あまりにデキすぎるとトップに警戒される。戦国時代の「最強のナンバー2」といわれた黒田官兵衛もその例外ではない。ある時、秀吉が家臣たちに自分の死後に誰が天下を取るかと尋ねたところ、徳川家康、前田利家らの名があがったが、秀吉が口にしたのは、彼らに比べはるかに石高の低い官兵衛だった。このことを伝え聞いた官兵衛は、秀吉が自分に対し警戒心を抱いていると知り、長男の長政に家督を譲り隠居したという。
祥伝社文庫の『大軍師 黒田官兵衛』(著・桜田晋也、680円)は、単なる軍事参謀にとどまらず、時代の流れを鋭く見抜く眼力と決断力を持ち、天下人である秀吉や家康にも恐怖を感じさせた官兵衛の生き方に迫る。現代にも通じる補佐役のあり方とは――。