この男がいなければ、豊臣秀吉の天下はなかった――。キャッチコピーがそう訴えかける。来年2014年のNHK大河ドラマは戦国の乱世が生んだ軍師、黒田官兵衛が主人公だ。秀吉に天下を取らせながら、その才ゆえに最も恐れられた男だった。一方で敬虔なクリスチャンで、「如水」と称し和歌や茶道に親しんだ文化人でもあった。演じるのは、岡田准一。ドラマが始まる前にちょっとだけ予習しておこう。
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「血」よりも「智」、「利」よりも「理」
『我が君主は天にあり 軍師・黒田官兵衛伝』
歴史にはいつも黒衣がいる。100年にわたる戦国時代が、信長、秀吉によって天下統一へ向かっていく道筋を演出したのが、黒田官兵衛だ。文芸社の文庫『我が君主は天にあり 軍師・黒田官兵衛伝』(著・浅黄霞雲、上下巻とも609円)の著者によれば、「名参謀」「軍師」と呼ばれるが、権勢欲を武力で満たそうとする武将たちとは一線を画し、「出来るだけ人を殺さず、血を流さず」を旨として、「血」よりも「智」、「利」よりも「理」に重きを置き、家臣や領民にも慕われた人物だった。
激動の時代の最中、信長に謀反を起こした荒木村重や、「両兵衛」と並び称された軍師・竹中半兵衛との因縁など波乱に満ちた生涯を、上巻では出生から秀吉による天下統一まで、下巻では隠居から九州席捲、関ヶ原の戦いへと続く晩年を描く。