客観的な評価が難しく、自分自身でしか感じることの出来ない「痛み」。実は、慢性疼痛を抱える人の多くが、医師・看護師に自身の痛みを言葉で上手く説明できなかった経験があるという。
こうした医療の現場で、「ジンジン」「ピリピリ」といった「オノマトペ(擬音語・擬態語)」を使うことが役に立つかもしれない――ということが、製薬会社・ファイザーがおこなった「痛みに関する全国実態調査」で示された。
方言わからない…受診抑制に繋がるケースも
慢性疼痛とは、推定される治癒期間を超えて持続する痛みのことだ。ふつう、痛みは防御機能として働くが、慢性疼痛の場合は健康と機能を損ない、日々の生活に支障が出る問題がある。福島県立医科大学医学部整形外科学講座教授の紺野愼一医師によると、「完全に取れることはほとんどない」という。
「痛みに関する全国実態調査」によると、こうした慢性疼痛を抱える人の7割強が、医師・看護師に自身の痛みを言葉で上手く説明できなかった経験を持っていた。一方で、「ジンジン」「ピリピリ」といったオノマトペを使った場合には「痛みを理解してもらえた」と8割の人が実感していることもわかった。
研究に協力した国立国語学研究所・時空間変異研究系 特任助教の竹田晃子氏は、こうしたオノマトペは地域や方言により大きな違いがあると指摘する。地方の医療現場では、方言がわからない医師に患者の言葉がうまく伝わらないことで、受診抑制に繋がるケースも実際にあるという。
「診療におけるよりよいコミュニケーションを実現できるよう、方言やオノマトペを含む身体表現に目を向けていただけると幸いです」