【書評ウォッチ】アメリカ少年野球はメジャー顔負け 意見はっきり、さっさと移籍

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   海外へ行っての異文化体験。よくあるジャンルの一つだが、平凡な旅行記とは趣の異なる『アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた』(小国綾子著、径書房)を読売新聞が記者推薦コーナーで。ほとんど知られていない実状を母親目線で見つめると同時に、英語になじめなかった子どもの成長記録でもある。焦点を絞ったことが説得力につながっている。それにしても、日米少年野球の差異は大人のそれ以上に大きい。【2013年11月17日(日)の各紙からⅡ】

日本と違う練習スタイルや試合風景

『アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた』(小国綾子著、径書房)
『アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた』(小国綾子著、径書房)

   著者は夫の転勤のため、いったん仕事を辞めて渡米した元新聞記者(その後復職)。息子は当時9歳。地元チームに入って、日本と違う練習や試合風景に愕然としたそうだ。

   選抜試験に落ちれば移籍は当たり前という、メジャーリーグ顔負けの競争システム。高額なプライベートレッスン。試合では親たちが自分の子供を手放しでほめ、子供の起用について意見を監督やコーチにはっきり言う。レベルに合わないと思えば、さっさとチームをかえるあたりもメジャーっぽい。これだけでも日本とはだいぶ違う雰囲気が想像できる。

   少年野球は日本でも盛んだ。「声を出せ、声を」「みんなでカバーしあえ」式の号令をコーチが発するシーンをよく見かける。協調心とチームプレーとマナーの重視。はらはら見つめる親たちも仲良く応援。こんな一致団結のイメージがほぼ定着している。

「みんなで強く」のメンタリティはない

   どちらが良いと安易には言えないが、まるで国民性の違いみたいだ。アメリカ式には「みんなで強くなろうぜなどというメンタリティはまったくない」と、読売の記者書評は驚きを隠さない。英語を話そうとしなかった9歳の少年が「自分の居場所は自分で選ぶ」過程には「胸に迫るものがあった」とも。本はユニークな異文化体験物にまとまっている。

   そのアメリカで大赤字のコロンビア映画を押しつけられて優良企業に変えたソニー社員の記録『ゴジラで負けてスパイダーマンで勝つ』(野副正行著、新潮社)が朝日新聞に。ハリウッド流のどんぶり勘定対「1円1銭を無駄にしない」日本の家電メーカー流。これもコントラストがはっきり出た。「ビジネスマンの本物を見る」と、評者は清野由美さん。V字回復の会社秘話だ。

   ほかには『決定版 世界のパン図鑑 224』(大和田聡子監修平凡社)を毎日新聞が。

   世界の224種をカラーで。もちろん北米も登場するが、小麦の故郷といわれる中東諸国のパンも。ここからもお国ぶりの違いが知れる。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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