霞ヶ関官僚が読む本
「極めて特異」な人間の性の営み その進化の謎に迫る

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「型破り」であることには、進化上の理由がある

   興味深いことに、こうした人間のアブノーマルな性的特徴は、いずれも進化の過程で生じてきた。つまり、ヒトにとって、その生存や種の維持に有利に作用するような形で、性の形が変化してきたのだという。その一例を挙げると……

   ほ乳類の場合、体外受精の魚などと異なり、長期の妊娠期間を要するほか、出産後も授乳等のため、メスは長期にわたり子育てから離れることができない。他方、オスは、こうした拘束がなく、また、メスから生まれた子が、本当に、自分の子であるとの確信を持てないこともあって、交尾後、別のメスに移っていくことが一般的だという。

   これに対し、ヒトの場合には、子の養育に時間がかかることから、母親のみで、必要な栄養を確保し、子を守ることは難しい。特に、狩猟採集時代には、片親のみでは生存すらできなかった。こうした事情もあって、種を残すという共同利益のために、男と女が家族を形成するようになったという。しかも、繁殖以外の目的で、楽しみのためにセックスすることも、一夫一妻が基本となっていることも、こうした事情が反映されているのだそうだ。

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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