アベノミクスで景気は上向きといわれる。しかし来年度以降は、消費税の値上げなどが迫り、漠然とした不安も潜む。そんな気分を先取りするかのように、徳間書店から『成長のない社会で、わたしたちはいかに生きていくべきなのか』が出た。
成長のない社会でいかに生きていくべきか
ずいぶん長いタイトルの本である。数えてみたら27文字もある。内容はともかく、見出しの長さでは今年の出版物の中でも群を抜いていることは間違いない。
著者は日本大学国際関係学部教授の水野和夫氏と、朝日新聞文化部記者の近藤康太郎氏。この2人が「経済」を軸にしながら、世の中の「根本的な疑問」について語りあっている。というか、もっぱら近藤氏の質問に水野氏が答えるという体裁になっている。
基本テーマは、タイトルにあるように、「成長のない社会で、わたしたちはいかに生きていくべきなのか」。アベノミクスからユーロ、国家と財政、米国や中国経済、経済学とは?などを縦横に論じる。そしてあれこれ考え出すと疑問は際限なく広がり、帯にいわく、「人類が作り出した謎多き『資本主義』に正面から思考する知的問答」へと発展していく。