議論も対策も待ったなし、急がなければ
男性がおちいりやすい、ニートやフリーターより急速に進みがちといった面もある。客観的な助言や刺激を与えてくれる友人がいないスネップの人々は普通、一人暮らしよりも家族と同居のケースのほうが働く意欲が低いらしい。「孤立と無業との根深く緊密な関係を、再認されたい」と、朝日評者の水無田気流さんも注意を呼びかける。
一方で、スネップ研究には「ややこしい。ニートとの違いがはっきりしない」「怠け者の新しいレッテル貼りにならないかと心配」との批判もある。こんな疑問に、本は一つずつ答えながら脱出策をさぐっている。そうした議論も具体的な対策も急がなければならない。もう待ったなしの現状がよくわかる本だ。
ミネルヴァ書房が医療や福祉から経済や教育まで広い範囲で論じられる「ケア」の意味を考えるシリーズを出す。その第一巻『ケアとは何だろうか』(広井良典・編著)が毎日新聞に。脱成長時代のキーワードを実例から掘り下げるチャレンジに価値がある。
(ジャーナリスト 高橋俊一)
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