【書評ウォッチ】脱サラ農家が考えた「キレイゴトぬきの農業論」 セオリーをクールに分析、切り離す

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誰でも「オリジナリティーに富んだ農業経営が可能」

   原発事故でキャンセルの山、風評被害とは何かを考えさせられた時期もある。それでも、農業がしたいという原点はゆるがなかった。

   防虫、雑草対策から放射能騒ぎまでの体験的農業私論。そのうえで、どんな人でもそれぞれの「強みや個性を素直にいかせば、オリジナリティーに富んだ農業経営が可能」「こんなに面白い仕事はない」と言い切っている。

   『どっこい大田の工匠たち』(小関智弘著、現代書館)が東京新聞に。町工場の街・東京大田区の凄腕職人たちを旋盤工経験もある作家が尋ね歩いた。磨き上げた技と独自の人生観。ものづくりを支えるとよく言うが、本当にこの人たちが日本の力だ。かつて八千以上あったという大田区の町工場だが、いまは半減。「それでも、どっこい大田の工匠は生きている」と、評者の平川克美さんがうなずく一冊だ。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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