霞ヶ関官僚が読む本
グローバル特権階級の実態 その「過大な影響力」とは

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

安全な場所から富の追求を謳歌

   著者のメッセージは次の3つである。第一に、21世紀の大富豪たちは、自らの才能と歴史的幸運でのし上がってきたが、その子孫が生まれついての特権階級化しつつあること、第二に大富豪たちが地球上に彼ら独自の新たな世界を作り一般大衆と隔絶しつつあること、第三に彼らが自らの利益を守るために世界の政治経済システムに対して過大な影響力を行使しつつあること。

   最大のリスクは、大富豪たちが、自分が生まれ育った国内の不満と向き合わずに、グローバル特権階級として安全な場所から富の追求を謳歌できるようになっていることだろう。

   バランスのとれた取材と基本的なデータの収集、そして産業革命以降の富の移動の推移に関する巨視的な分析によって、本書は通俗的な「格差社会」ものを超えた重たい現実を抽出することに成功している。

経済官庁(審議官級)パディントン

J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ」でも記事を公開中。

姉妹サイト