世界のアスリートたちが一堂に集まり、技と力を競う2020年五輪・パラリンピックの東京開催が決まった。五輪やパラリンピックが人々の感動を呼ぶのは、記録やメダル争いだけではない。夢の舞台にたどりつくまで多くの試練を乗り越えたドラマがあるからだ。アスリートたちの涙と希望の物語を紹介したい。
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東京招致を決めたスピーチの背景
『夢を跳ぶ パラリンピック・アスリートの挑戦』「私がここにいるのは、スポーツによって救われたからです」と始まる最終プレゼンの4分間のスピーチが東京招致の大きな決め手となった。岩波書店の岩波ジュニア新書『夢を跳ぶ パラリンピック・アスリートの挑戦』(佐藤真海、819円)は、そのスピーチで一躍注目された著者が5年前に著した手記である。
宮城県気仙沼市出身で早稲田大学に進み、応援部のチアリーダーとして活躍していた19歳の時に骨肉腫を発症し右足膝下を失った。絶望の淵に沈みながらも困難を克服し、2004年のアテネを経て北京パラリンピック走り幅跳びの代表に選ばれるまでを語る。その後、2011年には実家が東日本大震災に襲われる。IOC会長ら多くに人に感銘を与えたスピーチと明るい笑顔の裏には、幾多の試練があった。