『図解 特攻のすべて』(近現代史編纂会編、山川出版社)は、第2次世界大戦中の「特攻」について、69項目のトピックスや160点以上の写真、コラムなどでその「全貌」に迫っている。
特攻を受けた米艦船写真など多数掲載
「図解」とあるように、全編を通し、写真や図が豊富につけられている。「特攻を受け黒煙を噴き上げる(米)護衛空母『セント・ロー』」など戦場の生々しい様子を伝える写真も多い。
第1章「特攻はどう着想されたか」では、特攻艇「震洋」や人間魚雷「回天」、人間爆弾「桜花」、そして「神風特別攻撃隊」などの誕生の経緯について検証している。のちの証言や資料をもとに、「海軍の航空特攻決定経緯」の通説に疑問を投げかけるくだりもある。
第2章以降は、フィリピンや硫黄島の防衛作戦、「沖縄特攻」などについてまとめている。トピックスの表題を拾うと、「敷島隊、米護衛空母を撃沈」「4日で327人が特攻死『九州沖航空戦』」「特攻生還者はどう扱われたか」「『敵前逃亡』した特攻司令官」などの項目が並ぶ。
トピックス以外にも、「人間爆弾『桜花』のテスト飛行失敗はスパイの罠だった?」などのコラムもある。当時特攻基地があった鹿児島の知覧で、多くの特攻隊員たちから「お母さん」と慕われた食堂の女主人、鳥浜トメさんの生前インタビュー回想記も掲載されている。
2013年7月発売。1680円。