【書評ウォッチ】「観光」や「征服」を目的としない 富士山文化の全貌を解説する本格ガイド

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万葉から太宰治までの多様な姿

   『富士山の文学』(久保田淳著、角川ソフィア文庫)も同じ記事の中に。こちらのテーマは日本人がどんな言葉を富士山によせてきたか。風土記や万葉から太宰治まで。多様な姿で描かれてきた富士を、史実の解釈とともに解説した。

   古代の常陸風土記や聖徳太子伝説、中世の平家物語や頼朝と曾我兄弟、江戸期では東海道名所記や漢詩選も。近代日本の文明批評にも触れている。

   『富士山-聖と美の山』(上垣外憲一著、中公新書)は外国人と富士山との出会いに触れる。『なぜ富士山は世界遺産になったのか』(小田全宏著、PHP研究所)は登録推進運動の経緯を。世界遺産をとりまく問題や富士山のゴミ事情などを知るには、日経は扱っていないが、『「世界遺産」の真実』(佐滝剛弘著、祥伝社新書)が参考になりそうだ。副題は「過剰な期待、大いなる誤解」

   ほかには『岩手は今日も釣り日和』(村田久著、小学館)が読売新聞に。釣りエッセーに定評のある著者が季節や川、その周辺までを観察し、自然なタッチで語る。「天気図の見方なども含め、臨場感に溢れている」と評者のカキ養殖業、畠山重篤さんお薦めだ。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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