【書評ウォッチ】被災直後のしたたかな生命力 関東大震災90年の刺激的な記録

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非日常に復興の大きな原動力が

   復興に対する政府の無能ぶりも激しく糾弾しながら、外骨の眼は市井の人々に注がれていた。「震災という非日常が、ここにある」と、読売の「鵜」1文字の評者。「人間の猥雑な生命力こそ、実は復興の大きな原動力なのではないか」と、朝日の評者・政治思想史研究家の尾原宏之さんは語っている。

   ほかには、『サンダルで歩いたアフリカ大陸』(高尾具成著、岩波書店)がおもしろい。10カ国に足を運んだ毎日新聞記者のルポ。サッカーW杯をめぐる熱気と混乱があれば、内戦やテロに翻弄される少年兵もいる。さまざまな実像を、現地で交わした言葉や接した人々の行動を通して生き生きと伝える。こちらは現代のジャーナリストによる記録だ。

   著者は今、大震災の被災地・釜石に赴任中という。人々の喜怒哀楽を取材し続ける。「そこにアフリカも日本も違いはない」と、朝日読書面で小野正嗣さんが評価している。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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