松江市内の小中学校の学校図書館で、中沢啓治さんの代表作「はだしのゲン」が自由に読むことが出来なくなっていた閲覧制限問題。
今週26日(2013年8月)に開かれた臨時の教育委員会会議でようやく閲覧制限の撤回が決まったものの、それ以前にはギャル達からも市教委が下した見解を不満に思う声が相次いでいました。
「将来自分の子供にも教えていきたい」
ギャル達は、「はだしのゲン」についてどんな印象をもっているのでしょうか。
『ウチは小学生の時に教室に置いてあったから読んだけど…。正直、直視出来ない場面もあったのは事実。でも、戦争を知らない若い世代にとっては、当時の恐ろしさを感じることが出来る貴重な作品だと思った。むしろウチの担任は日本人として読むべきだって薦めてたぐらいだよ?』
『戦争はこんなにも人を苦しめるのかと想像している以上の衝撃だった。でも、授業では分からない戦争の残酷さや悲惨さが描かれていて、とても勉強になった。絶対忘れちゃいけない出来事だし、今後も戦争は絶対に起きてはならないものだと感じた。将来自分の子供にも教えていきたいって思う』
『読んだ時が小学生だったこともあって表現が過激で怖かった思い出がある。まさか自分の国でこんなことが起きていたなんて、今では考えられない…。だけど、こういった悲劇的な現実があったことを知るのは大切だし、体験してない世代にこそしっかり伝えていくべき!』
と、実際に恐怖感を覚えるシーンがあるのは認めつつも「はだしのゲン」を通し、二度とこのような戦争を繰り返してはならないと平和の尊さを訴える声や、歴史を知らない若い世代にこそ伝えていくべき作品だと感じていることが分かりました。
「何でも規制すれば良いってもんじゃないよね」
また、一時閉架措置を取った市教委に対しては、批判の声が相次ぎました。
『撤回されたから安心した気持ちはあるけど、それよりこういう閲覧制限の判断を下した大人に愕然とした。歴史的な漫画を大人達が閲覧制限してどうすんの?って感じ…。もちろん過激なのは否定出来ないけど、二度と戦争が起こらないためにも絶対に語り継いでいかなきゃいけない作品だと思う。ってか、そもそも今の子達はゲームとかでもっと残虐な場面を見てると思うけど…!?目を向ける論点がズレてるよね』
『昔の人は年老いて亡くなっていき、戦争の話をしてくれる人も時代とともに減っていく…。だからこそ「形」に残さないと子供達は知らないまま成長すると思う。それにこれからは私達の世代が戦争の悲惨さを伝えなければいけないのだから、むしろちゃんと読ませるべきだと思う』
『何でも規制すれば良いってもんじゃないよね。だからゆとり教育とか言われたり、過保護なモンスターペアレントが生まれるんじゃない!?正直、今の若者は私も含め戦争にピンときません。だからこそ読まなきゃいけないし、知らなきゃいけない、伝えなきゃいけない。これじゃあ戦争があった過去を否定しているようにも思える。あの時代があったから今の平和な日本があるのに何で規制する判断をしたんだろうね、おかしいよ…』
戦争や原爆のことを考える機会
このように、戦争を知る貴重な作品に対し閲覧制限を掛けたこと=子供達が戦争や被爆について知る権利や学ぶ権利を奪うことに直結し兼ねないと危機感を覚えていたことが分かりました。
また、今回の閲覧制限問題に対し、ギャルの間では批判的な意見が全体の約9割でした。戦争や原爆のことを考える機会が奪われることは、間違った認識が植え付けられたり、痛みを知らない大人になってしまったりすることにつながると考えたようです。
現在では閲覧制限が撤回されたことで安堵の声が広がっていますが、終戦から68年が過ぎ戦争を経験した世代の一層の高齢化が進むことを考えると、残された者が彼らの想いを受け継ぎ後世に伝えるべき役目があるのではないかと改めて感じています。
GRP編集長・まぁ~さ